授業メモ:生産量の最適化か価格の最適化か

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皆様こんにちは。ワシントンDCも寒い日が多くなってきました。日が短く、夕方5時半くらいにはもう暗くなってしまうため、一日が短く感じます。

今回は、Strategyの授業で面白かった内容をまとめます。寡占競争下でも、値段が高くなる場合と安くなる場合があるという内容です。本当は数式で考えるとすっきり分かりやすいのですが、今回は数式は割愛します。


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生産量の最適化か価格の最適化か(クルーノー競争とベルトラン競争)

ある企業が、寡占競争の市場で競合相手と競争する場合(談合等、競争しない場合は除く)、生産量を最適化する場合と、価格を最適化する場合の二つの戦略がある。前者をクルーノー競争、後者をベルトラン競争と呼ぶ。

生産量の最適化(クルーノー競争)

価格が安い製品が全ての需要を獲得するような寡占市場(製品差別化がなく、全ての消費者が安い企業から製品を買う場合)を考える。このような市場では、企業は生産量を調整することで、利益の最大化を目指す。生産量を増やすことで販売量を増やすことができるが、増やしすぎると市場への供給量が増えるため市場価格の低下を招いてしまう。そのため、利潤を最大化するためには、最適な生産量を決定する必要がある。このような競争が生じやすい市場の例としては、農業、製鉄、航空券など。

最適な生産量における均衡価格は生産者の市場支配力に応じて決まり、生産者が1社しかない場合に比べて高くなる場合も低くなる場合もある。

例:アメリカの包装容器市場(どちらもクルーノー競争環境)
(1) ビンや缶など飲料容器の場合
業界の上位3社が市場全体の生産量の75%以上を占めており、市場支配力が高い
→市場価格は過去に比べ上昇した

(2) ビニールや発泡スチロールの場合
大手全体でも市場全体の生産量の32%しかなく、市場支配力が低い
→市場価格は過去に比べて変わらず

価格の最適化(ベルトラン競争)

価格が安い製品と高い製品が混在できるような寡占市場(最も安い製品が市場を独占するとは限らない市場)を考える。このような市場では、企業は価格を調整することで、利潤の最大化を目指す。市場の例としては、ソフトウェア、保険など。

価格の動きは、製品差別化の度合いによって異なる。

製品があまり差別化されていない場合は、最もパフォーマンスが悪い(限界費用が高い)企業Aは採算ラインに値段を設定(P=MC)せざるを得なくなる。パフォーマンスが良い企業Bは、企業Aの採算ラインより少しだけ安い値段に設定をすることで、より多くの利益を得る。(企業Aより安く作った製品を、企業Aとほぼ同じ値段で売ることができる)

製品が差別化されている場合は、競合が値段を上げた際は自社も追随して値段も上げ、逆に競合が値段を下げた場合は同様に自社も下げることが、利益最大化の戦略となる。(自社の需要関数が、自社の価格だけでなく、競合の価格も変数に持つため。自社の需要関数と競合の需要関数を連立方程式として解くと、自社の最適価格が競合の価格の関数になる。)

考えたこと

どちらのケースにおいても、製品の付加価値を高めることは、有効だと思う。付加価値を高めることで、製品差別化ができるので、クルーノー競争や製品差別化されていないベルトラン競争の状態から抜け出すことができ、製品差別化されたベルトラン競争に持ち込むことができる。ただし、付加価値による差別化があまり求められない製品(原材料や消費財?)を作っている企業は、コスト削減によってシェアを拡大するしかないだろう。

航空券について考察

市場占有度の高さによって価格が異なるというのは、現実と合っており納得感がある。例えば、東京から岡山への航空券(新幹線との競合がある)と、東京から徳島への航空券(鉄道との競合がない)を比較すると、前者の方が安いというのは、有名な(?)話。

一方、そもそも航空券がクルーノー競争になりやすいという点については、個人的には疑問。同じ空港から同じ空港に就航している2社の航空会社があって、サービス(購入後の変更の可否や機内サービス)が同じ場合、航空券を選ぶ際の決定要因は、(1)利用可能な便があるか、(2)価格はどうか、の2点になるだろう。当然ながら、安い便があるからといってすべての顧客がその便を選ぶわけではない。良いダイヤを設定できているか、フリークエンシー(運行頻度)が確保できているかという点も、効いてくるはずである。また、1便あたりのキャパシティーもさほど大きくない。

したがって、安いからといって需要を総取りすることは不可能である。

そうなると、航空券は価格と差別化で勝負をしており、クルーノー競争ではなく、差別化されたベルトラン競争なのではないか。現実には、上記に加えて就航する空港を変えたり(伊丹空港ではなく、関西国際空港にする等)、機内サービスを省略したりという差別化も加わっている。

これを踏まえると、航空会社同士の競争は差別化されたベルトラン競争であり、ある航空会社が値上げすると、同じ区間に就航する別の航空会社も値上げする(逆に、値下げには値下げで対抗する)というのが、航空会社にとって最適な戦略になる。そうなると、航空会社にとっては、いかに値上げをするか(=いかに顧客の支払意思を高めるか)、またはいかに値下げをするか(=いかに効率化をするか、または、いかに戦略にあったバリューチェーンを構築するか)ということが大切になってくるだろう。特定の路線に集中するという戦略もあり得るだろう。

結果的に、ポーターの3つの基本戦略(コストリーダーシップ、差別化、集中)に辿り着くというのは、興味深い。

おまけ

写真は、雨の日のキャンパスの様子です。雨が降ってしっとりとした雰囲気も素敵です。


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