MBAで学ぶ教科書的知識は役に立つか

MBA留学を終えて派遣元での仕事に復帰してから、約9か月が経ちました。

MBA留学は仕事の役に立つのか?MBA留学してみたいと考え始めた人のほとんどが、ぶつかる問いでしょう。特に「教科書的知識」を学ぶことの是非については、正面から語られることがあまりないように思います。留学を終えてまだ日が浅く、一方である程度仕事もした、今だからこそ分かることを、私の視点で書いてみようと思います。

MBA留学で学ぶこと

MBA留学で経験することを「勉強」に着目して分解すると、①勉強に関する要素、②勉強以外に関する要素に分けられるでしょう。①には、教科書的な知識を学ぶことやケースを読むこと、さらには、日々の授業でのディスカッションに参加することやクラスメートとグループワークをすることも含まれます。②には、海外に住むこと、仕事から離れること(それに伴って発生する色々な機会、例えば時間を自由に使えること等含む)など、様々な要素があると思います。

②が留学した本人にとって貴重な経験となることは、想像の通りかと思います。実際に留学を経験してみると、想像以上と言えるかもしれません。では、①はどうでしょうか?

①で身につけることには、大きく(a)ハードスキル(いわゆるに教科書的知識)と(b)ソフトスキル(リーダーシップ経験や困難な状況を切り拓く力)があります。(b)については別の機会に改めて書こうと思いますが、こちらもある程度想像がつくかと思います。一方、(a)については、留学前に想像することは難しいのではないかと思います。少なくとも、自分は明確には想像できていませんでした。

留学が始まると、(a)が想像以上に面白くて、文字通り、毎日のめり込みました。(課題漬けで、のめり込まざるを得ないという面もありますが笑)

しかしながら、(a)の真価が発揮されるのは、留学を終えて仕事を始めてからです。MBAは学ぶことそのものに意味があるようなアカデミックなものではなく、実践するためのものなので、ある意味当然かと思います。卒業して仕事に復帰してからの所感を振り返ってみようと思います。

※以下、自分の体験を踏まえて書いていますが、私が本当に人に役立つ仕事をできているかは、周りの人のみぞ知ることです。私が書いていることはあくまでも「自称」ということで・・・

教科書的な知識は役に立つ

人によって見解が異なると思いますが、私にとっては教科書的な知識を学んだことが、非常に役立っています。会社で仕事をしていると、どうしても会社あるいは個々の社員に蓄積された経験に基づいて考えがちです。その会社または社員がその分野に非常に長けていて、間違いのない判断ができるなら、それでも問題ないかもしれません。しかし、未知の事柄を検討する時、すなわち「何か新しいことを始めようとしている時」または「既存のやり方を変えようとしている時」には、MBAで教科書的な知識を学んだことが活きるのではないかと思います。どのように役に立っているか、いくつか例を挙げてみます。

幅が広がる

まず、未知の事柄が減りました。私は、若干の濃淡はあるものの、広く浅く様々な科目を学びました。そのため、会社にとって未知の事柄を扱っていても、「あ、あの時勉強したあの事だな」と思える場面が、時々あります。未知の事柄を検討することはどうしても難しいので、最初の一歩だけであっても、何かしらの取り掛かりを自分の中に持っていることは、重要なことだと思います。

見落とさなくなる

また、検討すべき項目が見落とされていることに、気づけるようになったと思います。MBAでは、まず教科書で様々な事象の背景にある根本的・共通的な考え方を学び、ケースで個別の企業の事例を学びます。特に前者、樹木で例えると「幹」の部分を、網羅的・体系的に学んだことが活きて、「何を考えればよいのか分かっている」という場面が増えた気がします。「あの時勉強していたあの話だな」と目の前の事象が記憶とつながると、「どのような項目をどのような観点から検討すべきかな」という「幹」を思い出すことができます。実際には、記憶が不確かなため授業で使った教材を引っ張り出して復習する、ということもありますが…。

幹と枝が区別できるようになる

さらに、議論すべきポイントをつかむことができるようになったと思います。MBAを卒業して会社での各種検討・議論に参加して感じたことは、「幹」に近い根本的な論点と、「枝」に近い個別具体的な論点が、同じ視点で議論されていたり、あるいは区別されずに議論されているとがままあるいうことです。特に、会社にとって経験のない事柄を議論しているときに、顕著です。上で述べたように、MBAでは、まず教科書で「幹」を学び、その後ケースで個別の企業の事例(すなわち、「枝」)を学びます。このような学びを繰り返すことで、常に「幹」と「枝」の関係を意識しながら物事を理解するトレーニングをすることになります。そのため、「枝」よりも「幹」を議論すべき時、いったん「幹」は置いておいて個別の「枝」を検討すべき時、それぞれでポイントを外さずに議論に貢献できるようになったように思います。

以上、仕事に復帰して9か月時点での感触をまとめてみました。MBA留学をしたからこそ、帰ってからの仕事が充実していることは間違いないと思います。一方で、MBA留学をした経験にいつまでもしがみつくことなく、謙虚で柔軟にありたいとも思います。もう少し時間が経てばまた違った感想が出てくるかと思いますので、その時には改めて書いてみようと思います。

写真は、桜の時期にDC首都圏の郊外で撮ったものです。ワシントンDCでは日本から戦前に贈られた桜が有名ですが、街の中心部以外でもところどころで桜を見かけました。

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